臨床実験
前報「結膜嚢内細菌の位相差顯微鏡的観察」に対する訂正—細菌運動に及ぼすMediumの條件に関する基礎的檢討
著者:
淺山亮二1
永田誠1
三根亨1
吉田善一1
所属機関:
1京大眼科
ページ範囲:P.437 - P.442
文献購入ページに移動
先に浅山,松山は結膜嚢内細菌を位相差顕微鏡下に観察し,球菌類のブラウン運動を営み,桿菌類殊にM.A.氏重桿菌,K.W.氏桿菌の種々の固有運動を営む事を認め,更にリゾール,昇汞水等の殺菌剤で此の細菌運動が停止する事を認めた。更に其後松山,山元は各種藥物の細菌運動阻止作用に就て実験を試み,30%レギオンナトリウム,ペニシリン溶液(1cc2乃至4万単位),0.1%,0.5%,1%テラマイシン溶液,0.1%,05%,5%オーレオマイシン溶液等が細菌運動に著明なる影響を及ぼす事を報告した。そして此際肺炎双球菌,葡萄状球菌等は2乃至3分で顕著な運動停止が見られ,連鎖状球菌は稍々抵抗が強く,M.A氏重桿菌は更に抵抗が強い事を認めた。而も抗生物質を含むMedium内で運動を停止した菌は培養試験に於ても殆んど菌苔を生じなかつた。尤も培養に先立つて菌体をMediumから純粋に分離する事は困難であるが,永田は其後バシトラシンの眼科的応用に先立つて,松山等と同様の方法で本剤の細菌運動に対する影響を検したがBacitra-cinは1cc中1000単位の溶液でも各種細菌の運動に全く影響を与へない事を認めた。