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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科9巻3号

1955年03月発行

文献概要

臨床講義

斜視の治療について

著者: 弓削經一1

所属機関: 1京都府立医大眼科

ページ範囲:P.503 - P.513

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 吾国では,斜視の治療法としては手術療法がおもなものになつている。しかし手術療法にすこし頭をつゝこむと,たちまち手術療法のほかに視格矯正法(orthoptics)が,なかなかだいじな意味をもつていること,手術をよくするには視格矯正法をつかいこなさなければならないこがとわかつてくる。それは手術の適応をきめる上にまた手術効果をあげる上に,さらにまた手術効果をながつゞきさせる上に必要であるからである。なおよくかんがえてみると,以下のべるように斜視手術のほんとうの目的は斜視患者にうしなわれている両眼視の生理的能力をあたえることにある。整容的な目的は,機能的な目的にくらべると人の活動面からは比較的にどうでもよいのである。斜視治療に於ける機能的矯正がやかましく論ぜられている欧米学界の現状をみるとき,吾国にもやがてこのような時代がくるにちがいないということが感ぜられる。吾国であまりこの方面が問題になつていないのは人の機能に対する社会の要求が,まだそこまではあがつていないからであろう。吾々の周囲では会社や官庁の採用試験に,両眼視,立体視の試験がおこなわれていることをきかないが,色神検査とならんで,これは早晩必要になつてくることとおもう。私は視格矯正法を手術的療法の補助法のようにかきだしたが,実はその逆がほんとうなのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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