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臨床実験
緑内障に対する炭酸脱水酵素阻害剤Diamoxの効果に就いて
著者: 坂上道夫1
所属機関: 1慶大眼科
ページ範囲:P.790 - P.795
文献購入ページに移動炭酸脱水酵素阻害物質であるDiamoxは,Sul-fonamideの誘導体であり,その構造は2-Acety-Iamino−1,3,4,-Thiadiazole−5-Sulfonamideである。本製剤はSulfonamideと一連の化合物として,Arnerican Cyanamid CompanyのStanfordLaboratoay Chemothefapy Divisionに於いて合成され,当初は製造番号で表わされ6063と称せられたものである。さて,Sulfonamideの炭酸脱水酵素抑制効果に就いては,1938年頃から注目され特にN(1)非置換SulfonamideであるHomo-sulfamine,Acetyl Sulfanylamideが示す抑制効果に関して研究されて来た。Diamoxもその構造から考えるならばN(1)非置換体であり,炭酸脱水酵素阻害作用は,So2NH2基の存在に依つて裏付けられるものと考えられている。Sulfona-midは周知の事実として,胃腸障碍作用があげられる。故に胃腸障碍を示さない藥剤が研究され,遂にRoblin,Miller等により6063が合成されたのである。しかも本藥剤は今迄のSulfonamid誘導体に比し強力な炭酸脱水酵素阻害作用を示したので,先ず利尿剤としてDiamoxと名付けられ,市販されたのである。
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