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文献詳細

雑誌文献

生体の科学1巻2号

1949年08月発行

文献概要

巻頭

基礎と臨床との二人三脚

著者: 小林芳人1

所属機関: 1東大・醫學部藥理學教室

ページ範囲:P.64 - P.64

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 醫學の持つ二つの分野即ち基礎と臨床とはこれを各々獨立したものと見ないことが自分の信條である。理念としては區別しない方が可いとさへ考へる。一人の人がこの兩方に通曉しその實際に練達して居たとすればこれは醫學の研究體系としては理想的のものであろう。しかしこれは申す迄も無く不可能である。今日醫學が基礎及び臨床共に幾つかの專門科目に分れて居りその中の一つに精通することさえ一生を費しても容易の事では無いからに他ならない。醫學の終局の研究對象たる疾患の診斷,治療及び豫防等に關し色々の面と角度から研究が行はれるが,基礎醫學の立場としては動物實驗がその最も主なる研究手段であって臨床醫學の樣に異常機能の發現下にある。即ち疾患を持つ或は異常の環境下にある生活體としての人體を直接に研究對象とすることは無い。基礎と臨床とはこゝに一つの線が引かれる。吾々は動物實驗を行った場合は其實驗成績即ちその形態的機能的變化に基づいて判斷した所を以てこれが人體の場合に於ける諸現象を説明する基礎的根據となるものと一應考へるのであるが,ここに問題は動物を以っての實驗觀察が人體の場合と同一條件で行はれたと見做し得るか否かにある。これには色々の場合があり得るであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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