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文献詳細

雑誌文献

生体の科学1巻2号

1949年08月発行

文献概要

論述

貯藏蛋白と固定蛋白

著者: 吉村壽人1

所属機関: 1京都府立醫大生理學教室

ページ範囲:P.65 - P.68

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(1)緒論
 生體細胞がその生命を維持する爲には必ず原形質に一定の消耗が表れるからこの消耗を補ふ爲には原形質の主成分たる蛋白を絶えず補給してやらねばならぬ。而して成長する組織に於ては更に多くの蛋白を補給して原形質を新に作つて行かねばならぬ。これが我々が一般に持つてゐる蛋白代謝の基礎概念である。この考へ方よりすれば細胞の生理機能或は廣く一般の生體機能は蛋白代謝と密接な關係があり一方が變れば他方もそれに伴つて變る筈であるが,この結びつきはどの樣になつてゐるのであろうか。これを明かにせんとするのが我等の研究の目標である。所で生體が蛋白を攝取した場合にはこれは消化せられて,アミノ酸に分解せられ吸收せられこれを體内諸臟器の蛋白に再合成するのであつて,この間の經過は複雜であるが爲に蛋白代謝と生理機能の結びつきも一朝一夕に解決のつく問題ではない。例へば生體が一日にとらねばならぬ蛋白の最低値を蛋白必需量と稱し,從來これは攝取する蛋白の窒素量と體内より尿其他に排泄せられる窒素量の量的なバランス(窒素出納)を調べて決定せられてゐる。併しそれは單に生體と外界との窒素出納の平衡を保つに必要な蛋白量であるかも知れないが,この場合生體内でどんな變化がおこつてゐるかをよく調べそれが生體の健康保持に支障のないものであるか否かを見究めない以上直ちにそれを健康を保つに必要な蛋白量とは言ひ切れない(吉村参照)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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