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文献詳細

雑誌文献

生体の科学1巻2号

1949年08月発行

文献概要

展望

Insulinの生理作用

著者: 島薗順雄1

所属機関: 1新潟醫科大學生化學教室

ページ範囲:P.82 - P.85

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 1.糖尿病とInsulin
 糖尿病の病理に關する實驗的研究は,von Mering,Minkowski(1889)に依り犬の膵臟・剔出に依つて糖尿を起すことが發見せられて以來,多數の研究が行われたが,臟器からホルモンの濃厚なエキスを得ることに成功したのは其後32年を經たBanting,Best(1921)の業績である。Insulinの名は既に1909年J. de Meyerに依つて用いられていたが,Banting,Bestの研究以後是を純粹にとり出すため多數の研究者の努力が拂われ,1926年にはAbelが是を結晶として精製することに成功した。Insulinは膵臟のLangerhans島のβ-細胞の生産物と考えられ,その結晶はCystine,Tyrosine等10種以上のアミノ酸から成る蛋白質で,分子量35,000,S含有量3.2%である。SはS-S結合をなし,これが生理作用と密接に關係し,又含有アミノ酸中のTyrosineも生理作用に重要な關係を持つている。膵臟からとり出された結晶は0.6〜0.15%のZnを含有して居り,Scott(1939)はInsulinがZn(又はCd,Co,Ni)の鹽として結晶することを認めた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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