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文献詳細

雑誌文献

生体の科学1巻4号

1950年01月発行

文献概要

研究報告

ニコチンによる骨骼筋刺激の腦波へ及ぼす影響

著者: 田中英彦1

所属機関: 1東京大學醫學部生理學教室坂本研究室

ページ範囲:P.210 - P.213

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 緒言
 腦波の生因に關する多くの人々の見解を綜合すると,二つの對立した考えがある樣に思われる。即ち,腦の神經細胞に自働性のあることを強調して,それによつて生ずる電位變動が腦波であると云う見解があるのに對し,脳組織には多くのノイロンが環状に連つており,この閉鎖された連鎖の中を外部よりの衡撃が傳わることによつて脳波が生ずると云う見解がある。これらの考えはそれぞれ多くの人々の實験結果を根據にしており,前者は例えばLibet & Gerard1),Gerard & Young2),Adrian3)その他の實験結果が支持し,脳を剔出する等の方法によつて末梢との連絡を斷つたと思われる腦に於ても規則性のある波の存續することを,自働によると見做している。之に對して後者の根據となる見解は,例えばLorente de No´4),Ranson & Hinsley5),Bartley & Bishop6)その他によつて行われ,これらに於ては主として末梢刺激の脳波への影響,脳の神經核間の興奮傳導等を見ている。その何れの見解に從うとしても,末梢刺激と腦波との關係は頗る重要であるから,私共の研究室では數年前からその實験的研究が行われ,内菌7)は注目すべき結果を擧げている。私は内菌の研究を繼續して末梢刺激と脳波との關係を觀察しているが,今回はnicotineを用いて行つた實験についてのみ報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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