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文献詳細

雑誌文献

生体の科学1巻4号

1950年01月発行

文献概要

雜纂

シヨウガとカラシ

著者: 山田肇1

所属機関: 1京大醫學部藥理學教室

ページ範囲:P.221 - P.223

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 1930年の2月から4月にかけてアメリカのオハイオ州及び一つ飛んでその隣りのテネシー州に不思議な流行病が發生した。それは手足に弛緩性麻痺が起るもので,成年男子に多かつた。オクラホマ州にも現れ,4月の末には536例を算し,更に中部や南部諸州はも波及するに至つた。何しろ原因が分らぬので,或いはアルコール中毒と云い砒素や鉛の中毒とも稱せられ,一般には1930年型多發性神經炎と云う異名で呼ばれた。しかしやがてそれがジヤマイカ産の生姜から作つたエキスを原料としたginger aleやginger wineを飲用する者によく起る事が明らかになるに及んで,本病はginger paralysisと呼ばれるようになつた。そして遂にワシントンのM. I. Smith等の努力によつて,それが生姜エキスの中に味付けのために約2%の割合にひそかに混入せられたtri-o-cresyl phosphateのせいである事が判明した。時に1932年であつた。更にCarrillo等はオランダセリの果實のアルコールエキスたるapiolの中にやはりtri-o-cresyl phosphoric acidが約28〜50%の割で含まれていることを報告した。このapiolはこれまでドイツで通經藥に用いられていたがこの報告によつて間もなくその販賣は禁止された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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