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研究報告
發聲筋の機能
著者: 勝木保次1
所属機関: 1東京醫科齒科大學生理學教室
ページ範囲:P.243 - P.247
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發聲筋の機能は,古くは解剖學的關係,或は支配神經の切斷並びに刺戟實驗,又はX線による軟骨の運動等から豫想されたが1),間接にはGarciaの喉頭鏡發見(1855)により喉頭内部の觀察が可能となり,次でストロボスコープを用いて聲帶の精細な振動様式の探索に移り2)4),近くは米國のBell研究所では高速度映畫像が得られて是等の結果から一層豫想が確められてきた。又一方X線の方でも發聲中の氣道の斷層寫眞が可能となり,形態的面からの發聲機構は,殆んど闡明され盡した感がある。而し發聲筋自體の機能については尚想像に止り,直接の檢索が缺けている。よつて著者は是等の筋の活動電流を調べる事によつて,その機能の詳細を知ろうと試みた。活動電流を記録するには,該筋に外から到達出來る事が第一要件であつて,かゝる要請を滿すものは先づ前筋(輪状甲状筋)である。
前筋の機能は,該筋の收縮により輪状甲状兩軟骨間の距離縮少から聲帶を延長してその張力(緊張度)を増し,聲の調子を高めるものである事は,觸診によつてもX線像に於ても,調子の高まるにつれ兩軟骨が近づく事からわかる。颯田4)は犬に於ける上喉頭神經切斷及び刺激による聲帶形状の變化並びに音聲聲區の變換に關する實驗により,地聲と裏聲の成因が,内聲帶筋と前筋の相互作用にあると述べている。
發聲筋の機能は,古くは解剖學的關係,或は支配神經の切斷並びに刺戟實驗,又はX線による軟骨の運動等から豫想されたが1),間接にはGarciaの喉頭鏡發見(1855)により喉頭内部の觀察が可能となり,次でストロボスコープを用いて聲帶の精細な振動様式の探索に移り2)4),近くは米國のBell研究所では高速度映畫像が得られて是等の結果から一層豫想が確められてきた。又一方X線の方でも發聲中の氣道の斷層寫眞が可能となり,形態的面からの發聲機構は,殆んど闡明され盡した感がある。而し發聲筋自體の機能については尚想像に止り,直接の檢索が缺けている。よつて著者は是等の筋の活動電流を調べる事によつて,その機能の詳細を知ろうと試みた。活動電流を記録するには,該筋に外から到達出來る事が第一要件であつて,かゝる要請を滿すものは先づ前筋(輪状甲状筋)である。
前筋の機能は,該筋の收縮により輪状甲状兩軟骨間の距離縮少から聲帶を延長してその張力(緊張度)を増し,聲の調子を高めるものである事は,觸診によつてもX線像に於ても,調子の高まるにつれ兩軟骨が近づく事からわかる。颯田4)は犬に於ける上喉頭神經切斷及び刺激による聲帶形状の變化並びに音聲聲區の變換に關する實驗により,地聲と裏聲の成因が,内聲帶筋と前筋の相互作用にあると述べている。
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