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文献詳細

雑誌文献

生体の科学1巻6号

1950年06月発行

文献概要

論述

糖尿病に関する実驗病理學的研究(糖尿病亞鉛説)

著者: 岡本耕造1

所属機関: 1兵庫医大,病理学教室

ページ範囲:P.270 - P.277

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 Ⅲ 實驗的糖尿病よりみた糖尿病の發 生論および實驗的糖尿病の發症要約
 われわれの糖尿病の80%またはそれ以上が膵臓性糖尿病とされていて,このさいラ氏島には(1)島の数の減少および大いさの減少,(2)細胞学的の変化例えば水腫変性,單純性萎縮,硝子変性,硬変等いろいろの変化が認められている.19,22,26,63)しかしこのようなラ氏島の病変が起つた原因すなわち糖尿病の眞の原因が何であるかについては現今まつたく不明である.したがつて糖尿病に対しては煩雜な治療的処置がとられるのみであつて未前にこれを防ぐ予防対策はこれを樹立する根拠に欠けているのである.しかし最近の糖尿病に関する実驗的研究方面の進歩発達はいきおいその根本原因に対し考察を加えるようにわれわれを駆つている現況である.すなわち動物に甚だ容易に糖尿病を発生させたアロキサン,オキシンの如きがわれわれの糖尿病の原因ではなかろうかというのである.
 アロキサンは試驗管内で尿酸を酸化さして容易に作られるものであり,肝臓には酸素の存在で尿酸をジアルール酸に変化させる酵素がありこのものは極めて容易にアロキサンに変化するものであるといわれている.2,7,60)また最近濠洲のGriffiths14)はウサギをメチオニン,シスチン不足飼料で長期間飼育しこれに尿酸を投與するとアロキサン糖尿病とほとんど差のない血糖の変化を來して糖尿病を発することを報告している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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