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文献詳細

雑誌文献

生体の科学1巻6号

1950年06月発行

文献概要

研究報告

溶血系に及ぼす正負コロイドイオンの影響について

著者: 宮本晴夫1 赤眞淸人1 柳田こう1

所属機関: 1前橋医科大学微生物学教室

ページ範囲:P.305 - P.308

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1.まえがき
 溶菌反應や溶血反應は沈降反應や凝集反應と異つて,抗原と抗体との結合だけでは十分でなく,更に補体を必要とする.その補体の作用機構については色々の観察がなされ,補体中節がProthrombinであるという説1),2)や,補体の第三成分が酵素であり,このものが溶血反應に主役を演じているとする説,或いは—SH基が補体の作用基として重要な役割を有しているとも云われる.また,細菌や血球が感作によつて元來有していた負荷電を著しく減ずるために補体を結合するとする説や,感作細胞表面に集つた補体と細胞内容物との間に生ずる電場の結果,細胞内の滲透圧が変化して溶解反應が起るのであるとも云われる.3),4)一方,補体中節は強い酸性基を有するコロイドによつて,又未節も強酸性コロイド及び強塩基性蛋白質又はコロイドにより不活性され,5)ヘパリン,カロニン硫酸塩も抗補体作用を有することが明かにされている.6)
 そこで吾々は正及び負のコロイドイオンの溶血反應に及ぼす影響を観察し,溶血機構の解明の手がかりを得んとし次のような実驗を行つたところ,負コロイドイオンが溶血反應を阻止し,正コロイドイオンが再びこれを活性化する事実を認めたので此の機構について更に檢討を加えてみた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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