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文献詳細

雑誌文献

生体の科学10巻1号

1959年02月発行

論述

呼吸周期の発生機序

著者: 中山昭雄1

所属機関: 1名古屋大学医学部第一生理学教室

ページ範囲:P.21 - P.29

文献概要

 呼吸という瞬時も欠くことの出来ない生理現象について前世紀以来なされた研究は殆ど枚挙にいとまない程であるが,その最も基本的な問題,すなわち呼吸周期の形成が如何なる機序によつてなされるのか未だに意見の一致を見ない有様である。今日に到るまで行われて来た中枢の研究法—それは呼吸中枢に限らないのであるが一を通観し,それを研究方法によつて分類してみると,先ず中枢神経をいろいろなレベルで切断しそれによつておこる機能的変化から中枢の機能局在を確立しようとする試み,第2は一歩進んで何らかの方法で局所破壊を行い,その部及び二次的変性部位の組織学的検索と機能上の変化を対応づけようとするもの,第3の方法は更に傷害の度を少くすべく,電気的或は薬物による刺激を局所に与え,よつておこる反応を観察する。第4の方法はより生理的な条件下において実験するために,微小電極を中枢神経内に挿入して極めて限局した部分から電位変動を記録しようともるものである。このような単純な方法を如何に組合せ且つ重ねてみてもそれが果してどの程度まで中枢神経系の生理的な働きを教えるものであるか否か疑問である。しかしながらそれに勝る決定的な研究方法が見出されない限り,ここ当分の間は呼吸中枢の機序についても尚論議が繰返されるものと予想される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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