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文献詳細

雑誌文献

生体の科学10巻2号

1959年04月発行

論述

大脳辺縁系の電気的活動

著者: 川村浩1

所属機関: 1東京大学医学部脳研究所生理学部門

ページ範囲:P.73 - P.80

文献概要

 近年,脳幹網様体が新皮質の電気的活動に対して重要な役割を果していることがMoruzzi & Magoun(1949)1)によつて明らかにされ,またdiffuse projection systemの概念がJasper(1949)2)によつて提唱されて以来,新皮質の電気的活動の意義が,脳幹網様体—視床—新皮質のつながりを基礎にして,生理学的に解釈されるようになつた。これは従来の脳の電気的活動の研究が,実験技術上容易であるという点から主として新皮質を対象にして,行われていること,また,この分野に多くの知見を提供している人間の臨床脳波のデータが,やはり多くは頭皮上誘導に基く新皮質の電気的活動であることと考え合わせると,彼等の実験が大きく評価されたのは当然のことと肯ける。
 その結果,Bremer(1938)3)のいうcortical tonusの維持機序が,脳幹網様体という具体的な形態学的根拠を得たことになる。また,この場合に特殊感覚伝導系の活動が必ずしも脳の電気的活動を覚醒パタンのレベルに維持するうえに本質的なものではないことが明らかにされて,Bremerの説いたような求心性インプルスがもつとも重要性をもつという考えは一応否定された形になつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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