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末梢循環の動搖性に関する研究—第5報 正常人手指及び前腕のプレチスモグラムの分析
著者: 上田五雨1
所属機関: 1東京大学医学部生理学教室
ページ範囲:P.81 - P.88
文献購入ページに移動緒言
末梢循環の研究に関しては既に長島等1)が報告し,筆者も第1報〜第4報2)に於て新しい方法による研究を発表し,特に第3報に於ては,極めて実施しやすい波形分析法を説明したので,その方法の記述は省略するが今回はそれ等の方法に基づいて,健康な成年男子について記録したプレチスモグラムの中から若干例をえらび,其等を分析し各種の知見が求められた。この方法によつて末梢循環系の状態の異同を判定する際,同じ性質の波形群とみなさねばならぬ例でも異つたものとして判定される危険も時にはみられ,又異つた性質のものでも同じと判定されることも起り得るから,各々の場合に観察可能な実験条件はなるべくくわしく記録して参照し,綜合的に判断することが必要なことは言う迄もない。波形分析法によつて求められた結論は従来分析法なしで経験的に下していた判定による結論と相俟つて事実の解釈を確かめる根拠となるのであり,決して前者のみで十分であり後者は無視されるとする訳ではない。
末梢循環の研究に関しては既に長島等1)が報告し,筆者も第1報〜第4報2)に於て新しい方法による研究を発表し,特に第3報に於ては,極めて実施しやすい波形分析法を説明したので,その方法の記述は省略するが今回はそれ等の方法に基づいて,健康な成年男子について記録したプレチスモグラムの中から若干例をえらび,其等を分析し各種の知見が求められた。この方法によつて末梢循環系の状態の異同を判定する際,同じ性質の波形群とみなさねばならぬ例でも異つたものとして判定される危険も時にはみられ,又異つた性質のものでも同じと判定されることも起り得るから,各々の場合に観察可能な実験条件はなるべくくわしく記録して参照し,綜合的に判断することが必要なことは言う迄もない。波形分析法によつて求められた結論は従来分析法なしで経験的に下していた判定による結論と相俟つて事実の解釈を確かめる根拠となるのであり,決して前者のみで十分であり後者は無視されるとする訳ではない。
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