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文献詳細

雑誌文献

生体の科学10巻3号

1959年06月発行

文献概要

綜説

輓近に於ける2, 4-Dinitrophenolに関する研究の動向

著者: 村野匡1

所属機関: 1大阪市立大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.115 - P.124

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 2,4-Dinitrophenol(DNP)並びにその近縁物質が甚だ特異的な薬理学的並びに生化学的能動性を有することは,1918年以降約20年の間にMagne1),Tainter & Cutting2)〜5),Heymans6),Krahl & Clowes7)〜10),Ronzoni & Ehrenfest11)等により,その概要が明らかにされた。ところが1948年Loomis & Lipmann12)によりDNPが酸化的燐酸代謝を特異的に分離阻害することが立証され,上記の諸氏により記載された本剤の作用は全てこのuncoupling Propertyを根底として惹起されるものと推量されるに至つた。更に近時急速に発展した酵素学の進歩と相俟つて,生化学的諸反応或いは生体諸機能の発現乃至維持が如何程力源授受に依存するかを闡明する好個の解析物質として本剤が盛んに応用されるに至つた。而して過去に得られたDNPの基本的性格に関しては,既にEdsall13),Simon14)及びBrody15)の綜説に記載されているので,私はこれらの綜説事項と重複する点はその概要を述べるにとどめ,むしろ過去に於て比較的等閑視された本剤の代謝状況や最近得られた生体内諸代謝への影響に関する知見等を中心として論述する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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