文献詳細
論述
文献概要
最近,所謂経口的糖尿病治療剤と銘を打つものが二,三登場して学会や市場を賑わしている。由来糖尿病に対する治療薬研究の歴史は1922年のInsulinの発見から始まつて居り,現在持てはやされているものの発表以前にも,流星の如く現れ且忘れられていつた薬物の数も少ないものではない。勿論こう言つたからと言つて,現在採り上げられている数種の薬物が過去の事例の如く,早晩消え去る運命にあると予言したり,或いは現在までに報告された多くの物質の治療面に於ける価値を批評しようとしたりするのが筆者の意図ではない。筆者は糖尿病患者の治療と言う誠に困難な又厄介な問題に対し責任のない,一基礎医学研究者としての立場から血糖そのものの生理,並びにその薬物に対する反応に注視して見たいと思う。
たまたま糖尿病と言う病気が人類に存在していた,と言う事実が古くから多数の研究者をして血糖に注目せしめたのであろう。その限りに於いては,長い間の糖尿病研究の間に培われた血糖調節機構に関する幾多の観察の集積に対して吾々は称賛の言を惜むべきではないかも知れない。
たまたま糖尿病と言う病気が人類に存在していた,と言う事実が古くから多数の研究者をして血糖に注目せしめたのであろう。その限りに於いては,長い間の糖尿病研究の間に培われた血糖調節機構に関する幾多の観察の集積に対して吾々は称賛の言を惜むべきではないかも知れない。
掲載誌情報