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文献詳細

雑誌文献

生体の科学10巻6号

1959年12月発行

報告

適応反復刺激について

著者: 若林勲1 斎藤忠義1

所属機関: 1東京大学医学部第二生理学教室

ページ範囲:P.294 - P.299

文献概要

 Ⅰ.緒論
 刺激生理学は種々の電流刺激が有数なために必要なその時間経過と通電時間に関する法則性を決定した。かくして被刺激体の被刺激性の特質を示す指標としてクロナキシー其他の生理学的計数が得られた。
 刺激が長く持続する場合には被刺激体の生理学的状態が変化するが,その変化にも被刺激体に特有の一定の法則が見出され,適応(順応)と名付けられた。鈴木の"強まり要素"もその一つである。これらは単一刺激に関するものであるが,刺激が反復して加えられる場合には,交流刺激をも含めて,最大頻度,至適頻度1)があり,これも亦被刺激体の種類あるいはその生理学的状態によつて一定の値を示す。頻度が最大値を超える時は毎回の刺激に対し被刺激体の反応が毎回生起せず,甚しきに至つては,ウエデンスキーの現象を示すことも古くから知れている。それ程迄に至らなくとも,高頻度の刺激によつて反応が1回おきに脱落するとか3回に2回脱落するとか,いわゆる脱落現象を示す。この様な反復刺激の最初は毎回応答するが,まもなく脱落現象をあらわし,尚刺激が続くと脱落がその度を加えるようなことが屡々見られる。従つて例えば毎秒50回の刺激に実は25回しか応答せず,毎秒30回の刺激よりも応答頻度が低いという奇現象を起すに至る。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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