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文献詳細

雑誌文献

生体の科学11巻1号

1960年02月発行

綜説

小胞体について

著者: 渡辺陽之輔1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.2 - P.12

文献概要

 近年,電子顕微鏡および超薄切片法の発達に伴い,細胞の形態学の分野でも種々の新しい知見がもたらされた。その内でも特に注目されるものに細胞質内に存する一種の膜構造が挙げられる。このものははじめDaltonら4),Bernhard3)らにより記載されたが,当初は切片法の発達が不充分であつたため,その微細な構造は明らかにされなかつたが,Palade11),Sjöstrand21),Weiss32)らの研究により,このものが厚さ約50Åの膜およびこれにかこまれた腔よりなる一種の嚢状の構造であることが明らかにされた。更にこのものの特徴として膜の表面に径約200Åの細顆粒が附着していることが挙げられる。この構造が従来光学顕微鏡的にergastoplasmと云われた部分に主として発見されることからWeissはこれをergastoplasmic sacとよび,又BernhardやDaltonらは新しい意味でergastoplasmという言葉を用いている。筆者27)もこの構造が嚢状を呈するところから小胞体という名称を用いた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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