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文献詳細

雑誌文献

生体の科学11巻2号

1960年04月発行

文献概要

報告

神経細胞に対するVoltage Clamp法

著者: 萩原生長1

所属機関: 1東京医科歯科大学生理学教室

ページ範囲:P.82 - P.88

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 神経組織の活動を直接研究するには一般に電気的な測定方法が用いられる。それは神経細胞や神経線維に於ける興奮の発生がその電位変化つまり活動電位の発生として最も容易に且つ正確に追求する事ができるからである。従つて此の興奮発生の機構を分析しようとすると,どうしても神経線維や細胞の電気的な性質を研究する必要がある。さて次に述る英国のHodgkin, Huxley及びKatz1)等によつて考案されたvoltage clamp法一膜電圧固定法は其の研究法の一つなのである。神経線維や細胞に於ける電位は良く知られている様に其の細胞膜を横切つて発生する。従つて此の電位の直接の測定は細胞の内外に置いた一対の電極の間で測定されなければならない。実際に或る種の無脊椎動物の神経線維の様に太いものでは線維内に細い針金を又細い線維や神経細胞の様な場合には所謂ガラス毛細管電極を挿入する事に依つて実現される。もつともどんな線維や細胞でも此の種の測定が可能という訳ではなく其の大いさが或る程度以下では今のところ此の種の測定を行う手段が無い。ものに依つて多少の違いはあつても此の様にして測定すると細胞の内側は静止時に外側に比べて50〜90mv位負の電位になつており,何等かの原因で此の負の電位が組織に就いてきまつた或る大いさだけ減少すると一過性に細胞内部が逆に外部に比べて20〜30mv位正になる。つまり活動電位が発生する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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