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論述
覚せいアミン中毒
著者: 加藤伸勝1
所属機関: 1松沢病院
ページ範囲:P.130 - P.137
文献購入ページに移動 Ⅰ.まえがき
戦後15年,最早戦後ではないという言葉がきかれるようになつてから数年が過ぎた。確かに,現在,戦後のあの無秩序と不安に喘いだ異常な世相は人々の眼前から消え失せてしまつた。しかし,あの混乱が生んだ世相の犠牲者が精神病院の部屋の片隅に,慢性覚せい剤中毒者という姿で残されているのを,わたしたちは毎日この眼に見せつけられて,いまだに苦い思いを味わされている。
覚せい剤,すなわち覚せいアミンが精神障害をひき起すという最初の記載は1938年にYoung-Scovilleよつてなされている。しかし,その後の諸外国での報告例はいずれも症例数が少なく,症状も一過性のもので,わが国で見られるような長期にわたつて症状の残るものの記載は見られない。この点,わたしたちは貴重な経験をしているわけで,この疾患と真剣に取組まなければならないことを痛切に感ぜさせられているところでもある。
戦後15年,最早戦後ではないという言葉がきかれるようになつてから数年が過ぎた。確かに,現在,戦後のあの無秩序と不安に喘いだ異常な世相は人々の眼前から消え失せてしまつた。しかし,あの混乱が生んだ世相の犠牲者が精神病院の部屋の片隅に,慢性覚せい剤中毒者という姿で残されているのを,わたしたちは毎日この眼に見せつけられて,いまだに苦い思いを味わされている。
覚せい剤,すなわち覚せいアミンが精神障害をひき起すという最初の記載は1938年にYoung-Scovilleよつてなされている。しかし,その後の諸外国での報告例はいずれも症例数が少なく,症状も一過性のもので,わが国で見られるような長期にわたつて症状の残るものの記載は見られない。この点,わたしたちは貴重な経験をしているわけで,この疾患と真剣に取組まなければならないことを痛切に感ぜさせられているところでもある。
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