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腱叩打後の持続性筋紡錘発射と間代性筋発射の関連について
著者: 本間三郎1 加濃正明2 立岩正孝2 高野光司2 荒川浩二2
所属機関: 1千葉大学医学部生理学教室 2千葉大学大学院医学研究科
ページ範囲:P.145 - P.151
文献購入ページに移動Granit等(1959)1)は遊離した筋の腱叩打により,あるときはその筋よりの筋紡錘発射に増強がみられ,あるときは一定の筋紡錘活性化のもと持続性筋紡錘発射をみているものが,同様の腱叩打により停止されることもあると報告している。これらの筋紡錘発射の変化はγ-efferentの興奮しない末梢神経刺激によつて筋攣縮を起すという如き単に筋の機械的な変動の場合においても見られる。この陰陽2様の紡錘発射の変化は,前根を切断し,あるいは運動終板のみを選択的に麻酔したときにも起ることから,全く末梢性の筋紡錘自体における現象と看做している。筋紡錘の感覚部は運動終板の微細な自発性変動さえも感受するかも知れぬ程,感受性の高い器官であるが,腱叩打後の持続性紡錘発射変化の機序については,その決定的論及をさけている。
本研究は主として腱叩打により,筋紡錘自体に起つた変化,即ちその他に何らの要因が関与しないままでこの筋紡錘発射の増減されることを利用し,筋紡錘発射が運動ネウロン活動に如何に作用するかを研究した。勿論筋紡錘発射を増減せしめるということは,その筋を伸張し,或はこれを弛緩せしめるという操作によつても起し得るものであり,それらの運動ネウロンに対しての働きは所謂伸張反射として筋発射を記録すれば本研究の目的は達せられることになる。
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