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論述
黒血症の血色素異常
著者: 小原喜重郎1 小野繁1
所属機関: 1岩手医科大学生化学教室
ページ範囲:P.170 - P.180
文献購入ページに移動 岩手県の一地方に限局して存在する遺伝性の本症は,血液が特徴ある黒褐色を呈し,昭和10年木村氏により「黒褐色血液を主徴候とせる一遺伝性疾患」として症例報告され,ついで同12年,敷波氏は,「遺伝性アジソン氏病」として発表したのが研究の始まりである。
その後,本症の地域的な特殊性,患者の精神的苦痛,劣等感等により,系統的な検索は望めない状態であつたが,戦後にいたり,田村氏等により遺伝生物学的に広汎な調査が行われ,本症は140年前に突然変異により発生し,優性遺伝をなす事を確め,遺伝性黒血症Hereditary Black BloodDisease,Nigremia hereditaria,あるいはNigremiaとして報告し,血液学的にも興味深い症例として注目されてきた。
その後,本症の地域的な特殊性,患者の精神的苦痛,劣等感等により,系統的な検索は望めない状態であつたが,戦後にいたり,田村氏等により遺伝生物学的に広汎な調査が行われ,本症は140年前に突然変異により発生し,優性遺伝をなす事を確め,遺伝性黒血症Hereditary Black BloodDisease,Nigremia hereditaria,あるいはNigremiaとして報告し,血液学的にも興味深い症例として注目されてきた。
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