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文献詳細

雑誌文献

生体の科学12巻1号

1961年02月発行

文献概要

綜説

嗅神経系の電気生理学—その1 嗅粘膜の電気的活動

著者: 高木貞敬1

所属機関: 1群馬大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.2 - P.18

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 嗅神経系の電気生理学的研究は非常に少く,他の感覚神経系に比して断片的である。嗅粘膜の電気的活動を最初に研究したのは細谷及び吉田(1937a,b)であつて,犬の嗅粘膜を剔除し,ガラス管の切口に固定し,粘膜の内外に電極を置いてその電位差を記録した。その結果嗅粘膜は外面を負内面を正とする1乃至6mVの電位差を有すること,匂を与えるとこの電位差がゆるやかに変化すること,またその大きさは匂の種類により異なることなどを明らかにした。その後は電気生理学的器械の著しい進歩にも拘らず嗅粘膜は長らく顧みられなかつたが,1954年に至りスエーデンの生理学者Ottosonが兎の嗅球の脳波を記録した際遅電位Slow Potentialが嗅粘膜より出ることを再発見し,ブラウン管上に記録した(Fig 1(Ottoson,1954,1959)。その後(1956)は蛙の嗅粘膜について研究し,匂を吹きかけるとき比較的急峻な上昇部とゆるやかな下降部とをもつ遅電位の発生するものを見出した。これと類似の遅電位はラッテにおいても(Takagi,Unpublished)認められた。
 筆者達(Takagi et al,'59,'60a,b,c,d,Shibuya,'60)は主として蛙と蟇また魚を用いこの遅電位について研究し,これが嗅神経,嗅球の活動といかなる関係を有するかを明らかにせんと試み,多少の知見を得たのでここに現在までの嗅粘膜の研究を綜説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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