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文献詳細

雑誌文献

生体の科学12巻1号

1961年02月発行

綜説

シヤジク藻類の電気生理

著者: 岸本卯一郎1

所属機関: 1大阪大学理学部生物学教室

ページ範囲:P.19 - P.28

文献概要

 シャジク藻類(Characeae)はスギナ状の形態をもつ通常淡水産(汽水産のものもある)の緑色藻類である。円柱状の主軸は多くの節にわかれ,各節に数個の小さい節細胞と輪生葉がある。ところどころ節より分枝しているものもある。代表的な種はNitella(フラスモ),Chara(シャジクモ)で,節間は多核の円筒状の巨大単一細胞(成熟したもので長さ5〜8cm,直径約500μ)である。ある種のCharaではこの節間細胞が多くの小さな細胞によつてすのこ状に蔽われているものがある(corticated internodes)。節間細胞は約2μの厚さのセルローズ性のcell wallで蔽われ,cytoplasmは約5〜10μの層をなしてcell wallの内面に沿つて一定方向に流動している(このcyclosisの状態によつて細胞の良否を判断できる)。Cytoplasmの内部はvacuoleで細胞の大部分の体積を占めている。その形体の大きなため節間細胞は古くから生理学的研究の好材料として用いられている(Hörmann,898:Ewart,1902)。また1930年頃からOsterhout,Blinks,Umrathらによつてその電気生理学が開拓された。
 この細胞の静止電位(R.P)は一般に大きく(Charaで約200mV,内部が負),働作電位(A. P.)の経過が長い(通常5〜10秒)のが特徴である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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