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綜説
蛔虫の代謝系—糖質代謝を中心として
著者: 大家裕1
所属機関: 1順天堂大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.62 - P.70
文献購入ページに移動 形態学的,生態学的あるいは疫学的な研究が主流をなしてきた寄生虫学の分野にも,生化学的な視野からの考察が進められねばならぬという気運が近年とみにさかんとなってきたが,その嚆失をなすものとして,1949年ニューヨークにおいて開かれたアメリカの主要な寄生虫学者たちによる"Symposium on the Physiology of Parasite" J. Parasit.,36,175-226)をあげることができよう。これより以前においても,Weinland,Tischer,Adam,Harnish,von Brandをはじめとする多くの先駆的業積がなかったわけではない。しかしup to dateな意味での生化学的業積は1950年を境として質,量ともに急速に増加した。なかでも人間,豚の腸内寄生虫であるAscaris lumbricoides(以下蛔虫と記す)は,入手の容易さからも,また大いさが研究に適するところからも線虫研究の最もよい材料として用いられ,これについての多くの業積が集積されてきた。許された紙数内において,これらのすべてを網羅しつくすことは到底不可能であるのみならず,非力なる筆者の果し得るところでもない。
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