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文献詳細

雑誌文献

生体の科学12巻2号

1961年04月発行

論述

電気的シナップスと,ニューロン間の電気的連絡

著者: 渡辺昭1

所属機関: 1東京医科歯科大学生理学教室

ページ範囲:P.85 - P.101

文献概要

 Ⅰ.緒論
 ニューロン間の相互作用,ことにシナップス伝達の機構について,最近数年の間に解明された知見は決して少くないが,その中の一つの重要な分野として,ニューロン間の電気的相互作用の概念の復活を挙げることができよう。このことは,かなり古くから想像され,理論化され,論争のまととなり,近来の実験によつて一応否定されていたが,最近改めて実験的に発見されるに至つた。注意すべきことは,例えば電気的シナップスの発見という様な言葉が,シナップスの化学伝達学説の否定を意味するものでは全くないということである。シナップス伝達の電気説と化学説とが対立して論争を交した1930年代と現在との差は,前者が一般的な学説の間の論争であつたのに対して,後者は事実の発見を取扱つているという点に存在する。筋終板(muscle end-plate)に於ける運動神経線維→筋線維の興奮伝達が化学的であることについては,多くの優れた証左があり,これに電気説が適用される余地は,現在に於ても殆んどない(Castillo & Katz,1956参照10))。一方,別のある種のシナップスに於て,電気的伝達が行われることも事実である。しかもその伝達の方法は,以前に理論的に予想されていたものとは全く異る様式を持つことが見出されている。我々が今までシナップスと呼んでいたものの中には,多くの異つた型が存在し,あるものは電気的,あるものは化学的な機構を持つ。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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