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文献詳細

雑誌文献

生体の科学12巻3号

1961年06月発行

文献概要

綜説

神経筋接合部の生理と薬理

著者: 大塚正徳1

所属機関: 1東京大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.137 - P.151

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 Ⅰ.緒言
 運動神経線維の末端は骨格筋線維の一部──終板──と相接し,所謂シナプスを形成している。このシナプスを神経筋接合部neuromuscular junction,myoneural junctionと呼び,運動神経からの衝撃はこの部分を通つて筋に伝えられる。
 神経筋接合部が昔から多くの研究者の興味を集めたのは,勿論一つには神経筋接合部それ自体の重要性によるものであるが,その他に特に次の二つの理由を挙げることが出来る。第1に,神経筋接合部をシナプスの一つの原型と見做すことが可能であり,ここで得られた知見が他の実験のもっと困難なシナプス,例えば中枢神経系のシナプス55),自律神経系のシナプス20)60)の性質を知る上に多くの示唆を与えると思われる。事実,神経筋接合部で得られた数々の知見が,例えば脊髄の前角細胞の部分のシナプスに就いても略々当てはまることが知られている55)。第2には,神経筋接合部が研究対象として多くの便宜を有しており,それを用いて実験することが比較的容易なことである。例えば神経筋接合部の位置を顕微鏡下に容易に認めることが出来るし,又神経線維1本が筋線維1本に終つてシナプスを形成している標本を用いて実験することもさほど困難ではない123)。又微小電極を用いた実験の対象としても極めて好適である65)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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