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文献詳細

雑誌文献

生体の科学12巻4号

1961年08月発行

綜説

細胞内酵素系(その2)

著者: 小川和朗1

所属機関: 1京都大学医学部解剖学教室

ページ範囲:P.154 - P.162

文献概要

 Ⅳ.核内酵素(Nuclear enzymes)
 Table 1に,一応,核内酵素群と思われる酵素の中,代表的なものを列挙しておいたが,酵素の核内所在を誤りなく決定するには,色々と難点が多い。
 先ず,分画遠沈法による場合,一番問題になるのは,酵素の転移(translocation)である。すなわち,核に吸着(adsorption)している糸粒体,あるいは核のすぐ周りの細胞質成分が,核と共に核内分画に入り,細胞質由来の酵素が核内酵素と見誤られたり,又,逆に,核内酵素,特に可溶性のもの(soluble nuclear enzymes)が,分画操作中に他の分画に移動したりして判定を困難にするのである。これらの,転移による判定の誤差を出来るだけ少なくするには,色々な分画法を併用して行ない,その結果を比較検討すると共に20),染色法による成績を参照するより他に道がないのであるが,残念ながら,核内酵素に関しては,細胞化学的染色法は,現在迄の所,余り貢献しておらない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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