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文献詳細

雑誌文献

生体の科学12巻4号

1961年08月発行

第38回日本生理学会シンポジウム総括報告

(1)生体膜ポンプ機構の研究展望

著者: 吉村寿人1

所属機関: 1京都府立医科大学生理学教室

ページ範囲:P.163 - P.168

文献概要

 生体膜ポンプとはactive transportのmechanismをさしたものであるが,本symposiumの冒頭に当つて東邦大学塚田教授はこのactive transportの定義,機構等について要領のよい解説を行つた。それによると,active transportは拡散,電位差,solvent drag等の物理的な力では説明の出来ない物質の膜輸送現象であつて,生体膜には選択的に一定の物質をその濃度や電位差と無関係に一定方向に向つて輸送し得る能力があり,それにはenergy消費を伴うが,この様にして動かされる物質の移動現象をactive transportと言つている。生体膜の物質透過現象は単にactive transportのみならずpassive transportもあるわけであるが,この両者を区別する為にはUssing1)によつて誘導せられた次の式を利用し,これに一致する場合にはpassive transport,そうでない時にはactive transportをうたがい得る事を示してisotopeによるFlux測定の必要なる事を説明した。
【Mi/Mo=Ao/Ai e ZF/RT E】ここにMi,Moはinfluxとoutflux,Ao,Aiは膜の外側と内側の溶液中の物質のactivity,Eは膜両側間のpotentialである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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