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文献詳細

雑誌文献

生体の科学13巻1号

1962年02月発行

文献概要

綜説

神経,筋における能働輸送機構

著者: 佐藤昌康1

所属機関: 1熊本大学医学部第二生理学教室

ページ範囲:P.2 - P.9

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 今から30年程前Fenn & Cobb1)はネズミの筋を長時間反復刺戟すると筋はNaをえて,ほぼ等量のKを失い,刺激した筋を静置しておくと濃度勾配に反してKが血液から筋内に移動し,その代りにNaが筋からでる(……potassium is repeatedly observed migrating from blood to muscle against a steep concentration gradient in exchange for sodium)といふ事実を発見した。彼等は,刺激によつて筋がNaをうることは(同時にNaの代りにKが等量でるということも),筋の活動に伴いNaに対する透過性が増大するという考えによつて説明することができたが,濃度勾配に反して恢復期にKが筋内に入りNaが筋からでるという事実を説明するのに苦労している。幸にいまではHodgkin等(2)のすぐれた実験に基く学説のおかげで,此の恢復期のNaの排出,Kの吸収という事実を説明するのにNa-Kポンプ機構というものを持ちだすことができる。即ち,第1図のように神経・筋線維の活動に伴い他働的な輸送機構で濃度勾配にしたがいNaは細胞内へ,Kは細胞外へ移動するが,恢復期には代謝過程よりエナージーの供給をうけて物理化学的勾配に逆いNaを排出し,Kを吸収する。後者は前者とは全く別の機構に基ずくもので,いわば生細胞の特性であるということができる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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