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文献詳細

雑誌文献

生体の科学13巻1号

1962年02月発行

文献概要

論述

嚥下時の消化管内圧変化

著者: 宮川清1

所属機関: 1信州大学医学部第二生理学教室

ページ範囲:P.19 - P.30

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 嚥下時消化管内圧研究の歴史的概要
 嚥下に対する考察は古くから行われていたが,内圧というべき方向からこの現象の解明に乗りだしたのは1880年の頃からで,Kronecker, FalkならびにMeltzerである1)2)3)。そのときまではMagendie, Heuermann, Haller達により,嚥下時に食塊が口から遠ざかつて運ばれるのは,咽頭,食道の連続的な一貫作用によるものらしいと考えられていた。これに対してKroneckerとMeltzerはballoon法を駆使しての実験結果から,液体ならびに半流動体の嚥下に対しては,舌ならびにmylohyoid筋の運動が重要であつて,これらの筋による口腔から咽頭への衝動的な排出が嚥下の中心機構であると考えた。そして咽頭ならびに食道の筋の収縮が意味を持つのは一層堅い物質のより遅い推進に対してであると考えた。その後Meltzerは結論を多少修正して,液体の場合でも食道の蠕動様のはたらきが関与するものと考えた。Schreiber4)は1912年,KroneckerならびにMeltzerの得た諸結果を仔細に再検討のすえ,連続的一貫作業説に戻つたのである。元来balloonの消化管内挿入自体が無視できない刺激となるのみならず,この方法に内在する諸問題が実験結果の解釈を混乱に導いているわけである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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