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文献詳細

雑誌文献

生体の科学13巻1号

1962年02月発行

文献概要

論述

Heme α-Methenyl Oxygenaseを中心とするヘモグロビン解裂酵素系について

著者: 中島煕12

所属機関: 1九州大学医学部山岡内科 2東京医科歯科大学遺伝病研究施設

ページ範囲:P.31 - P.41

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 Ⅰ.まえがき
 赤血球の崩壊後流血中に遊離したHemoglobin(Hb)は略々定量的に胆汁色素へと代謝されると考えられている。赤血球の生存期間(life span)を120日とすれば成人では1日約6乃至8gのHbが代謝されている事になる。が,この様に大量のHbから生体内の何処で如何なる過程を経て胆汁色素が生成されているかは,19世紀後半以来の研究課題でありながら尚多くの解明されるべき点を残している。本文に於てはその全貌を尽す事は到底不可能であるので,論点をhemeのα-methenyl位に於ける開裂反応にしぼつて吾々山岡門下の仕事を中心に従来の内外に於ける歴史的業績を交えながら述べる事にしたい。
 胆汁色素がHbに由来する事は古くから知られていたが,その最初の記載は1847年にVirchow83)によつてなされた出血巣に於て認められる橙色の色素Hämatoidinがbilirubinそのものではないかとの推定であろう。この推定は後にFischer & Reinded4)によつて確証された。他方1850年にFrerichs & Städeler3)によつて動物に胆汁酸を静脈内注射すると尿中にbilirubinの排泄が起る事が観察された。これは恐らくこの分野に於ける最初の動物実験と考えられるが,この後しばらくの間はbilirubin生成には胆汁酸が必要であると考えられていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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