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文献詳細

雑誌文献

生体の科学13巻4号

1962年08月発行

文献概要

論述

Bionicsの紹介—副題neuronの電子的modelと頭脳の電子modelとしての学習機械を中心として

著者: 東野庄司1

所属機関: 1群大医学部生理学教室

ページ範囲:P.189 - P.203

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 第1部 Bionicsの概要
 1.序論
 工学の分野,特に電子工学は最近飛躍的な発展を遂げつつある。そして種々の電子装置を用いる情報処理の問題は増々尨大且複雑化している。この事は工場のみならず,銀行,証券会社等の社会機構全般の変革を齎らしている。この様な複雑な情報処理を能率よく行う為に生物系の現象を取入れる事が必要となつた。ここに紹介するBionicsはこの様な要求の為に米国に於て生れた新しい分野の学問であつて,これは医学者が,工学的な技術を応用して種々の診断や治療装置を考えているのと反対に,工学者が生物的性質を工学の分野に応用しようとしていることである。そして,中枢神経系を解明する為の手段として,neuronの電子モデルである“neuromime”や,頭脳の電子モデルとしての学習機械perceptronが生れた。生物のもつ刺激変換器(transducer)は人間の作つた機械に比べて驚くべき感度をもつている。夜盗虫の耳は3本のnerve fibreしかもつていないが,こうもりの超音波のsonar(航行用音波)を検知することができ,広い廻り道をして地の中へもぐると云う逃避作用を行う。こうもり自身は,周囲の雑音の中から彼の出すsonarに対する小さな物体の反射を検知することができる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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