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有機燐化合物の分子藥理学的研究
著者: 木村正康1
所属機関: 1富山大学薬学部薬物学教室
ページ範囲:P.295 - P.304
文献購入ページに移動 Ⅰ.緒言
有機燐化合物は農薬殺虫剤として発展して来たが,人畜に対する強力な毒作用があるため薬理学的領域においては,その作用機序を中心として研究されて来た。その結果,有機燐化合物はChoiesterase(ChE)に対する顕著な酵素阻害剤であることが明らかにされた。著者はこの事実から出発して,新たに有機燐化合物の抗Acetylcholine(ACh)作用を追求し,有機燐化合物の薬理作用上の排反性を確認し得た。
このことは薬物受容体理論において,特にACh受容体とChE酵素との相関性を究明してゆく上に,一つの方法論的根拠を与えたと思われる。薬物受容体理論は薬理学的作用概念として誕生し,批判的検討と共に,多くの研究が行われ近年仮説の域を脱して来ている動向にある。薬学領域においても,この薬物受容体理論が積極的に導入され,薬物の拮抗現象1)を解明する際の基盤的役割とか,或いは新薬の設計上の方法論的役割などを演じている。
有機燐化合物は農薬殺虫剤として発展して来たが,人畜に対する強力な毒作用があるため薬理学的領域においては,その作用機序を中心として研究されて来た。その結果,有機燐化合物はChoiesterase(ChE)に対する顕著な酵素阻害剤であることが明らかにされた。著者はこの事実から出発して,新たに有機燐化合物の抗Acetylcholine(ACh)作用を追求し,有機燐化合物の薬理作用上の排反性を確認し得た。
このことは薬物受容体理論において,特にACh受容体とChE酵素との相関性を究明してゆく上に,一つの方法論的根拠を与えたと思われる。薬物受容体理論は薬理学的作用概念として誕生し,批判的検討と共に,多くの研究が行われ近年仮説の域を脱して来ている動向にある。薬学領域においても,この薬物受容体理論が積極的に導入され,薬物の拮抗現象1)を解明する際の基盤的役割とか,或いは新薬の設計上の方法論的役割などを演じている。
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