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文献詳細

雑誌文献

生体の科学14巻1号

1963年02月発行

特集 第9回中枢神経系の生理学シンポジウム

向精神薬剤の効果を変化させる諸条件—個性的反応と情況的反応

著者: 台弘1

所属機関: 1群大医学部精神科

ページ範囲:P.28 - P.35

文献概要

 Ⅰ.
 私は臨床にたずさわつている者の1人として,標題の問題を現象的に整理し,質問の形で基礎の方々に提出したいと思う。本文の資料は断片的には既に臨床の会や雑誌に発表したものであるが,まとめた形で述べられたことはない1-4)
 臨床家が向精神薬剤を有効に使おうとする時には当然のことながら適応をえらぶ。その時第1の目安になるのは標的症状target symptomとよばれるもの,例えば不安,興奮があればphenothiazineを,抑うつがあればantidepressantを用いる如きである。次に現在の精神医学でおこなわれている診断,例えば同じく感情不安でも神経症の場合には,minor tranquilizer,分裂病ならphenothiazineなどのmajor tranquilizerを用いるようなことがあげられる。標的症状というと事新しく聞えるが,これは漢方でいう証と同じで,葛根湯証の代りにchlorpromazine証を用いるのと代りがない。なお精神医学の診断がどんな役割を果すかについては最後にのべるつもりである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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