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文献詳細

雑誌文献

生体の科学14巻2号

1963年02月発行

文献概要

綜説

神経細胞のNa-pump—神経細胞が電気的活動を維持する条件

著者: 伊藤正男1

所属機関: 1東京大学医学部第二生理学教室

ページ範囲:P.77 - P.87

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 神経細胞の電気的活動と細胞内外のイオン分布
 中枢神経系が極めて多数のニューロンによつて構成されるもので,その機能がニューロンに於ける電気的な活動を主体として行われる事は今日疑いのない所である。この電気的活動は神経細胞の膜にシナップスを介して起こる電位変化と,それによつて更にひきおこされる活動電位に要約される。前者は一つのニューロンが他のニューロンより信号を受けてこれを統合する過程であり,後者はその効果を発現して他のニューロンに伝送する過程である。例えば猫の脊髄前角にある運動神経細胞の場合,細胞内に刺入された微小電極を通して第1図に示す様な5種の電位が記録される。第一に細胞内部は外部に対して70から80mV負に滞電している(静止電位,Resting Potential)。第二にある種のシナップスが活動した時細胞の膜電気は一過性の減少,即ち脱分極をおこす(EPSP)。第三に他の種のシナップスの活動によつて一過性の膜電圧増加,即ち過分極がおこる(IPSP)。第四にこれらEPSP,IPSPの相反する効果の加重した結果,EPSPがまさつて,膜電位がある値以上の脱分極をうけた場合,膜電位は自ら急激な脱分極をおこして,その頂点に於ては細胞内は外に対して20〜30mV正位をもつ(活動電位,Spike Potential)。この活動電位は軸索突起を伝導して行き筋へ伝えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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