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論述
筋受容器—第2編 筋受容器の系統発生学的観察
著者: 伊藤竜1 伊藤文雄2
所属機関: 1名古屋大学医学部生理 2愛知学院大学歯学部生理
ページ範囲:P.221 - P.232
文献購入ページに移動筋受容器の構造を系統発生学的に見る時,脊椎動物以外では甲殻類の筋伸展受容器が最も良く研究されている。Alexandrowicz(1951)及びFlorey & Florey(1955)等の詳細な組織学的記載によれば,甲殻類(cray fishザリガニの類及びlobsterイセエビの類)の筋線維の極く近くに感覚神経細胞があり,その細胞から出た数本の樹枝状突起は筋線維の表面に網様に密着している。筋線維の収縮又は伸長はこれ等の樹枝状突起の変形を起し,そのため出来る樹枝状突起の脱分極の効果はその神経細胞体で合成され,ある一定の閾値以上に軸索起始部の細胞膜が脱分極されれば軸索に伝播性インプルスを発射する(Kuffler 1954;Eyzaguirre & Kuffler 1955)。
同じ形態の受容器はFinlayson & Lowenstein(1958)によりOrthoptera(直翅目),Odonata(蜻蛉目)及びHymenoptera(膜翅目)等の昆虫にも見出されている。その感覚神経細胞の樹枝状突起は結合織の膜又は筋の表面に附着し,それ等の組織の伸長による長さの変化量に比例して軸索に発射される求心性インプルスの頻度が変化する事を見出した(第1図参照)。
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