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論述
心臓神経作用の特性
著者: 菅野富夫1 東健彦1 松田幸次郎1
所属機関: 1東大医学部第一生理学教室
ページ範囲:P.233 - P.240
文献購入ページに移動(1)心臓神経の6つの効果を発現し易さの順に並べると,一般に(i)electroklinotropic(活動電位の形に対する効果),(ii)mechanoklinotropic,(iii)変時或は変力(標本によりいづれかが優位),(iv)変閾,(V)変伝導となる。
(2)迷走神経単一刺激によつて(i)〜(iv)までの効果が発現し,持続時間0.01msecという短いpulse刺激でも十分に有効であつた,しかし単一刺激効果はせいぜい数拍動で消失した。交感神経単一刺激によつて(i)〜(iii)の効果が認められたが,刺激pulseの持続時間は0.1msec或はそれ以上で効果が表われた。単一刺激によつて時には数分に及ぶ著しい促進効果がみられた。
(3)迷走神経単一刺激は,刺激時点によつて効果発現の程度が異り,変時作用については静脈洞の興奮よりも約1.7秒前に心臓神経に単一刺激を与えた時に効果は最大となる。
(4)ガマ心臓神経効果については左右差を一般的に特徴づけることは出来なかつた。
(5)刺激頻度と効果との関係について調べるとどの効果についても,交感神経,迷走神経共に20/sec付近で最大効果を表わした。
(6)心臓神経を長時間頻数刺激し続けたり液素性物質を長く作用させておくと,心房刺激の閾値に対する効果が次第に逆転する。迷走神経刺激,acetylcholine投与で始め閾値上昇後下降,交感神経刺激,adrenaline投与で逆の経過をとつた。
(7)心房に強い直接刺激を与えるとnegative electroklinotropic,negative mechanoklinotropic,陰性変力,陰性変時,陰性変閾効果が現れた。
以上の結果について考察を行つた。
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