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文献詳細

雑誌文献

生体の科学14巻6号

1963年12月発行

特集 興奮收縮伝関

筋の興奮収縮伝関

著者: 永井寅男1 藤野和宏1

所属機関: 1札幌医大生理学教室

ページ範囲:P.269 - P.278

文献概要

 筋の活動時に見られるいろいろの現象のうちで特に著明なものは膜電位の変化と収縮とである。この両者の機能的因果関係に対しては以前からすでに一応の関心が払われていた1)。しかし近年になつて細胞内微小電極法の発展にともなう筋の電気的性質の究明における進歩と,他方,筋モデルの物理化学的な研究に基ずく筋の収縮弛緩の機構の究明とからここに当然の帰着点として,細胞の膜電位変化(興奮)とそれに引き続いて惹起される収縮との関連性がクローズアップされるに至つた。この両者の機能的関連が興奮収縮伝関でありまたexcitation-contraction coupling(E-Ccoupling)ともいわれ,この分野においては筋細胞の形質膜の興奮がいかなる機構によつて収縮を惹きおこすかが追求される。
 このE-C couplingという言葉を提唱したのはSandowら2・3)である。彼らは筋の電気現象と機械現象とを比較検討し,後者は前者より時間的におくれることを示した。即ち第1図において活動電位のピークから収縮曲線上のlatency relaxationの生ずるまでの時間(S-A)がそれである。また,彼はある条件下(後述)では,電気刺激による活動電位には変化がないが,収縮には著しい増大がおこることを報告した。これらの事から筋の興奮と収縮を結ぶある過程を考えることが出来,その過程が条件によりなんらかの方法によつて変えられることを示唆した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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