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特集 興奮收縮伝関
骨格筋の興奮収縮連関
著者: 真島英信1
所属機関: 1順天堂大学医学部第二生理学教室
ページ範囲:P.286 - P.294
文献購入ページに移動骨格筋の収縮を次の模式のように3つの段階に分けて考えると便利である。すなわち(1)形質膜における電気的変化↓……興奮—収縮連関
(2)筋原線維上の化学変化弛緩…↑↓……収縮(化学—機械連関)
(3)機械的変化(短縮または張力発生)
時間的にはまず第1に形質膜の脱分極または活動電位があり,第2に筋原線維を中心として,その成分であるアクチンやミオシンと周囲の環境条件とくにATPとの相互作用による化学的変化が進行する。第3にこの化学変化は同時的に原線維の収縮という機械的変化を起こすと考えられるのである。本論文で問題とされるのは形質膜の脱分極と収縮を伴う化学変化との間に存在する過程であつて,興奮収縮連関excitation-contraction couplingと呼ばれているところである。
興奮収縮連関の特長の一つは不可逆的現象である点である。すなわち形質膜に脱分極があれば収縮に至るが,逆に筋の収縮弛緩が膜の電位に影響を与えるということはない。つまり興奮は収縮に対して引金作用をしていると考えられる。化学機械連関はこれに反し一部可逆的である。弛緩によつて原線維およびその周辺の状況は旧に復し,一部のエネルギーはもとの形にもどる可能性がある。
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