icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学14巻6号

1963年12月発行

文献概要

特集 興奮收縮伝関

骨格筋の興奮収縮連関

著者: 真島英信1

所属機関: 1順天堂大学医学部第二生理学教室

ページ範囲:P.286 - P.294

文献購入ページに移動
I.はじめに
 骨格筋の収縮を次の模式のように3つの段階に分けて考えると便利である。すなわち(1)形質膜における電気的変化↓……興奮—収縮連関
(2)筋原線維上の化学変化弛緩…↑↓……収縮(化学—機械連関)
(3)機械的変化(短縮または張力発生)
 時間的にはまず第1に形質膜の脱分極または活動電位があり,第2に筋原線維を中心として,その成分であるアクチンやミオシンと周囲の環境条件とくにATPとの相互作用による化学的変化が進行する。第3にこの化学変化は同時的に原線維の収縮という機械的変化を起こすと考えられるのである。本論文で問題とされるのは形質膜の脱分極と収縮を伴う化学変化との間に存在する過程であつて,興奮収縮連関excitation-contraction couplingと呼ばれているところである。
 興奮収縮連関の特長の一つは不可逆的現象である点である。すなわち形質膜に脱分極があれば収縮に至るが,逆に筋の収縮弛緩が膜の電位に影響を与えるということはない。つまり興奮は収縮に対して引金作用をしていると考えられる。化学機械連関はこれに反し一部可逆的である。弛緩によつて原線維およびその周辺の状況は旧に復し,一部のエネルギーはもとの形にもどる可能性がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら