文献詳細
文献概要
特集 興奮收縮伝関
興奮収縮連関
著者: 酒井敏夫1
所属機関: 1東京慈恵医大生理学教室
ページ範囲:P.295 - P.302
文献購入ページに移動骨格筋を収縮させるためには,直接,或は神経を介して間接的に刺激が与えられ,形質膜に一定の電気的変化が起ることが必要である。刺激が与えられると形質膜に脱分極(depolarization)が生じ,この脱分極が一定の値(臨界値,critical level)に達すると刺電位(spike potentia1)が生じて,これが形質膜に沿つて筋線維全長に伝播する(活動電位,action potential)。この活動電位の発生により,筋線維を構成する収縮物質系(contractile elements)が,短縮或は張力(tension)発生という筋収縮を起す。(muscular contraction)
活動電位の発生(興奮,excitation)から筋収縮(contraction)の発現に至る過程に関しては,すでに1800年代の頃からEngelmann,Retziusらによつて論ぜられていた。しかし,再びこの問題が脚光をあびるようになつたのは,Sandow36)(1952)が興奮と収縮の間に"一連の生理学的連鎖反応の存在"の仮説を提案し,この連鎖反応にexcitation-contraction coupling(E-C coupling)なる名称を与えたことからといえよう。
掲載誌情報