文献詳細
論述
文献概要
ヒトの手の指を縦断し,その断面を実体双眼顕微鏡で検査した。次いで爪のセロイジン包埋材料をチオグリコール酸アンモンに漬けて,5-数10μの組織標本を作り,また従来の方法で5μ以下のパラフイン切片を作つた。更にまた一部は電子顕微鏡で観察し,次のような所見を得た。
爪半月の前縁から爪根の後縁にわたり,爪板と胚芽層の間に,肉眼的に白く見える薄層(仮にRanvier層と名づける)があり,この層の前縁と爪半月の前縁は位置的に一致する。Ranvier層は成人では厚さ60μ,あるいはそれ以上に達し,ここの細胞はSubstance onychogène(Ranvier, L. 1875)という顆粒状の物質を多量に含み,そのため透過光線では褐色に,落下光線では白く輝いて見える。
Substance onychogèneは厚さ5μ以下のパラフィン切片では線維状に見え,Heidenhainの鉄ヘマトキシリンで強く染まり,またエオジン,酸性フクシン,オランゲG,Pearse法でも良く染まる。
電子顕微鏡的にはSubstance onychogèneは直径0.25μ,長径2.5μぐらいの小円柱で,電子密度が大きく,均質に見え,角化張原線維といわれているものに一致する。
以上の所見から次の結論を得た。
1)爪半月が白く見えるのはSubstance onychogène(Ranvier, L. 1875)の乱反射にもとづく。
2)Substance onychogèneは顆粒でなく,角化張原線維である。
爪半月の前縁から爪根の後縁にわたり,爪板と胚芽層の間に,肉眼的に白く見える薄層(仮にRanvier層と名づける)があり,この層の前縁と爪半月の前縁は位置的に一致する。Ranvier層は成人では厚さ60μ,あるいはそれ以上に達し,ここの細胞はSubstance onychogène(Ranvier, L. 1875)という顆粒状の物質を多量に含み,そのため透過光線では褐色に,落下光線では白く輝いて見える。
Substance onychogèneは厚さ5μ以下のパラフィン切片では線維状に見え,Heidenhainの鉄ヘマトキシリンで強く染まり,またエオジン,酸性フクシン,オランゲG,Pearse法でも良く染まる。
電子顕微鏡的にはSubstance onychogèneは直径0.25μ,長径2.5μぐらいの小円柱で,電子密度が大きく,均質に見え,角化張原線維といわれているものに一致する。
以上の所見から次の結論を得た。
1)爪半月が白く見えるのはSubstance onychogène(Ranvier, L. 1875)の乱反射にもとづく。
2)Substance onychogèneは顆粒でなく,角化張原線維である。
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