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文献詳細

雑誌文献

生体の科学15巻2号

1964年04月発行

論述

電圧—電流—時間特性による生体興奮膜の解析(その1)

著者: 東野庄司1

所属機関: 1群馬大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.66 - P.74

文献概要

 Ⅰ.緒言
 最近電子工学の発達はめざましく,特に半導体工学に於て負性抵抗を有するものとして,Esaki's tunnel diode(1958)やpn pn diode等の種々の素子が作られている。一方電気生理学の分野でも,興奮膜において負性抵抗の存在することが,Hodgkinと Huxley(1952)のVoltage clamp法による実験から明らかにされた。又TasakiとHagiwara(1957)の見出した膜の2つの安定状態や,Hyperpolarizing response(Tasaki, I. 1959;Müller, P. 1958)等の現象と,見かけ上非常によく似た現象が,上記の半導体素子においてはすでに見出され,かつこれらの特性をもつたものが現在作られている。
 Constant fieldを仮定した膜の整流理論(Goldman,1943)は,Mott(1940)の金属整流器の理論と,同一の考え方から出発しているので,その式の形も非常によく似ている。電子伝導を主として行なう半導体素子とion伝導を主とする生体膜とは,そのbehaviorが非常によく似ているとしても,これらの間の関係を直接結びつけることはできない。しかしながら,一つの未知の現象を解析する場合に,他の既知の現象における現象論的な考え方を取り入れる事は,理解を深める上に非常に有効である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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