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論述
脊髄単シナプス伝達
著者: 久野宗1
所属機関: 1
ページ範囲:P.75 - P.89
文献購入ページに移動 脊髄前角のα運動神経細胞は,その支配筋および協調筋の筋紡錐から求心性神経線維(Group Ia)を受けて単シナプス反射弓を形成する(122-125)。この単純な反射経路においては,求心性線維が直接運動神経細胞に結合しているから,一定強度の求心性衝撃による反射効果は,単に次の3つの部位の状態によつて規定されていると考えられる。第一にこの反射は,当然運動神経細胞自身の興奮性によつて支配され,第二に,運動神経細胞に結合する求心性線維終末端(afferent terminal knob)の状態によつて変化する。この反射効果は,さらにシナプスにおける化学伝達物質の授受の状況によつて影響され得るであろうが,この最後の因子は伝達物質の知られていない現在,綜説の対象として考察する事は適当でない。従つて,本編では主として最初の2つの原因を扱い,それを通じて最近の脊髄機能に関する研究の紹介を目的とした。しかし,この分野では最近幾つかの綜説があり(38,72,99,131,149),これ等と内容が重複する事は出来るだけ避けたが,それだけに論文の選択と考察の内容は筆者の興味によるかなりの偏向を含んでいる事を予め明記したい。内容は主として,この5年間の猫の脊髄機能に関する研究を対象とした。
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