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文献詳細

雑誌文献

生体の科学15巻3号

1964年06月発行

文献概要

特集 第13回日本生理科学連合シンポジウム

物理化学的な膜理論について

著者: 渡辺昭1

所属機関: 1東京医歯大生理学教室

ページ範囲:P.125 - P.135

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 Ⅰ.序論
 最近20年間に,細胞膜電位についての知見は,飛躍的な進歩をとげた。その直接の動機となつたのは,Hodgkin & Huxley(1945)9)及びCurtis & Cole(1942)2)による,細胞内電極法の創案である。それまでは,膜電位の測定には,いつも,幾つかの困難が伴つていた。例えば,細胞外液が,測定すべき損傷電位を短絡して,その絶対値を不正確にしてしまうことは,その1つである。細胞内電極法は,この様な困難をとり除いた。その結果,膜電位についての知識の量は,今までと比較にならない程急速に増大していつた。それまで存在していた興奮についての理論は,Nernstにはじまる刺激理論と,Bernsteinの膜説とが主なものであつた。しかし,これらの説では,新しく見出された豊富な実験事実を満足に説明することができなかつた。これらの事実を説明するために提出された理論のうち,最も優れたものは,Hodgkin & Katz(1949)11),及びHodgkin & Huxley(1952)10),によつて発表された理論である。この理論は,活動電位の発生にナトリウムイオンが重要であることを強調するので,一般にSodium theoryと呼ばれ,イカの巨大線維膜に発生する興奮現象について,定量的な説明を与える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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