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特集 生体膜その3
平滑筋の生化学
著者: 野々村禎昭1
所属機関: 1東京大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.285 - P.293
文献購入ページに移動 平滑筋の生化学的研究の歴史は1940年代の無脊椎動物に対するMehl1)の仕事,哺乳類,ことに子宮筋に対するCsapó2)の仕事からはじまつたとすれば確かに20年そこそこという短かい歴史である。しかしこの20年間に生化学の諸領域のなした進歩を思い浮べてみると,この平滑筋の生化学の領域における成果の少なさにわれわれは驚かざるを得ない。むしろ,いま出発点に立つている領域である,といつても過言ではないだろう。これまでの研究量の少なさのために子宮筋を中心としたNeedhamのもの3,4)が出るまで総説らしいものがなかつたこの領域で,私のように自分の仕事をもたぬ者が総説など書けるはずがない。ただ私自身この領域の出発点にたとうとしている時,自分自身のためにも先人達の積み重さねた努力を,特に電子顕微鏡による平滑筋の微細構造の解明と結び合わせて最近の進歩をおぼえ書的にまとめてみたい。
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