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巻頭言
研究と知識
著者: 萩原文二1
所属機関: 1大阪大学
ページ範囲:P.1 - P.1
文献購入ページに移動 研究者のなかには実験の上手な人と知識の豊富な人との二つの型がある。研究者一人々々が研究または勉強にあて得る時間には限界があるのであるから,ここでは,直接の研究実験と,知識の整理や獲得に,どのように時間を割りあてたらよいかという問題を考えたい。
私が阪大理学部で生化学の研究を開始した十数年前には,研究室内のセミナーはもちろんあったが,部外者の一般的なセミナーまたは特別講義のようなものは極めて少なく,また,今日多数に発行されている,例えば本誌のような,研究者のための解説的な雑誌や綜説的な年刊誌などはごく僅かであつた。研究者は当面の研究に関連のある実験技術書とアブストラクトをたよりに関連のある原報の目ぼしいものに目を通す以外は,ほとんど全部の時間を実験と計算とその考察に費やしていた。研究室内のセミナーでさえも,あまり研究の参考になりそうにないものが紹介されるときや実験の忙しいときには出席しないことが多かった。
私が阪大理学部で生化学の研究を開始した十数年前には,研究室内のセミナーはもちろんあったが,部外者の一般的なセミナーまたは特別講義のようなものは極めて少なく,また,今日多数に発行されている,例えば本誌のような,研究者のための解説的な雑誌や綜説的な年刊誌などはごく僅かであつた。研究者は当面の研究に関連のある実験技術書とアブストラクトをたよりに関連のある原報の目ぼしいものに目を通す以外は,ほとんど全部の時間を実験と計算とその考察に費やしていた。研究室内のセミナーでさえも,あまり研究の参考になりそうにないものが紹介されるときや実験の忙しいときには出席しないことが多かった。
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