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交見
二つの大きな任務をせおつた基礎医学,他
著者: 沖中重雄1
所属機関: 1虎ノ門病院
ページ範囲:P.44 - P.47
文献購入ページに移動 編集室からの課題は「基礎医学に何をのぞむか」であるが,今までも,おりにふれ,処々で,私の考え,希望などを述べているので,今日は与えられた紙数内に,ごく端的に述べることにします。現代の基礎医学は二つの大きな任務をせおわされていると思います。一つは,臨床医学にもつと近づいてもらいたいことであり,後の一つは,もつと基礎科学とも接触していただきたいことです。このことは現在日本の基礎医学がおかれている経済的,人的に甚だ困難な環境に対し,むずかしい要求であると思われるが,やはり,目標はいつも高いところにおいて努力しなければ進歩しないので,あえて,このような要望を述べたわけです。以上の二つの一見相反するような希望をどのような形で実現していくかであるが,その方法として,私は,基礎医学の中に病態基礎医学と申しますか,もつと直接に臨床に結びつく学問をあつかう組織を作りあげることが必要と思います。病理学などは既にその形をとつているわけですが,その他の基礎医学でも,例えば病態生化学,病態生理学その他すべての基礎医学教室の中に,そのような部門を作りあげることができると思います。解剖学のような学問でも,藤田教授が率先して実行されたような生体観察を主とする解剖学もあるし,また,外科学とよく結びついた解剖学なども以上の中に入ると思う。
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