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巻頭言
薬物の慢性投与動物実験の重要性
著者: 島本暉朗1
所属機関: 1京都大学
ページ範囲:P.105 - P.105
文献購入ページに移動 薬物作用を分析するにあたつて薬力学的方法を用いることは薬理学の常套手段であるが,薬物の臨床応用を求める時にはこの研究方法によつてえられた薬物作用の知見のみでは十分でないことは申すまでもない。この比較的単純化された機能系においてえられる薬物作用所見は生理学的または生化学的に理論づけされることが多い。したがつてその成績は魅力に富んだものとみえるし,薬物作用を理解する上にもはなはだ便利であることが多い。しかし,多くの場合,個々の薬力学的成績の積分値のみでは必ずしも薬物の生体作用を十分に説明することができないし,またその成績に拘泥すると誤つた臨床適用を示唆することとなり,社会に与える被害も少なくないことがありうる。以上の点は薬理学を学ぶものにとつて大きな悩みの一つとなつている。
以上に述べたことは薬力学的研究方法は迂遠なものであるとか,あるいは非生理的であるといわんとするものではない。このような研究方法は薬物の生物作用を知る上にもつとも大切なものであるからである。問題はえられた成績を薬物の生体作用に帰納せしめる積分方法に問題があることを指摘したいのである。しからば具体的な方策如何と問われると実際上は手をあげざるをえないのである。
以上に述べたことは薬力学的研究方法は迂遠なものであるとか,あるいは非生理的であるといわんとするものではない。このような研究方法は薬物の生物作用を知る上にもつとも大切なものであるからである。問題はえられた成績を薬物の生体作用に帰納せしめる積分方法に問題があることを指摘したいのである。しからば具体的な方策如何と問われると実際上は手をあげざるをえないのである。
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