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文献詳細

雑誌文献

生体の科学16巻3号

1965年06月発行

文献概要

主題 Polypeptide

綜説 インシュリンの構造と機能

著者: 佐竹一夫1

所属機関: 1東京都立大学理学部化学教室

ページ範囲:P.117 - P.125

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 I
 肝臓が糖代謝に関係の深いことは前世紀末から知られ,その有効成分の抽出精製がいろいろ試みられていたが,血糖降下性ホルモンインシュリンがはじめて結晶化されたのは1926年のことである1)。その後 工業的製法が詳しく検討され2),最近では各種動物から微量のインシュリンを能率よく単離する方法も確立されている3)。なおインシュリンはひろく脊椎動物に分布しているが,魚類てはこの分泌細胞(β細胞)は,膵臓組織とはなれてスタニウス小体として独立している。したがつてこの小器官(カツオで0.5g前後,インシュリン約0.3mgが含まれる)を原料とすると哺乳類膵臓の場合にくらべてはるかに精製がたやすくなる。
 インシュリンの平面構造は1955年ウシのものについて最終的に決定され5),(i)分子量約6000,(ii)21個のアミノ酸からなるA鎖と,30個のアミノ酸が結合したB鎖の2本のポリペプチドより構成され6-8),(iii)A,B両鎖間に2個,さらにA鎖内に1個のジスルフィド結合をもつている5)(第1図(a))。したがつて分子量的にみるとタンパク質というよりはむしろポリペプチドであるが,ふつうの条件下では亜鉛イオンによつて錯塩状の二量体を形成し(第1図(b)),この粒子量1.2万の単位がさらに会合し2.4万ないし3.6万の粒子量を示す9-12)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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